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死者を呼び出す!?イタコの使う術や道具とは… 知られざる秘術に迫ります

死者を呼び出す!?イタコの使う術や道具とは… 知られざる秘術に迫ります

イタコという存在がいるというのは耳にしても、具体的にどのような事をするのかは分からない。そんな人が多いのではないでしょうか。死者と交信するために、特別な術や道具を駆使するというのも、一般的にはあまり知られていません。

俗世から隔離された恐山という独特のロケーションで、死者の霊を呼び出しているイタコの実態。普通の人には近寄りがたく、恐ろしい雰囲気が漂いますが、術や道具という切り口で今から迫っていきましょう。

 


「イタコ」とは?


まずはイタコとはどういう人達なのか、深掘りしていきます。民間信仰ではありますが、お膝元の東北では無形民俗文化財に指定されている。この世からあの世に還っていった死者のメッセージを伝える役割をする人。

「亡くなった人が苦しんではいないか」、「死ぬ前に何か言いたかった事があるのではないか」など、現世に生きる人々の心をケアする役割も担っています。
簡単に誰でもイタコになれるわけではなく、生まれつき研ぎ澄まされた感覚を持つ者、大抵は目の見えない子どもが選ばれるという話。選ばれ集まってくる地域が限られているところから、遺伝的な素養も関係するのではないかと考えられます。

そして、師匠と言うべきイタコの下で、厳しい修行を積まなければなりません。そういった辛い修行に耐え、霊的な能力を格段に高めてからでなければ、役目を果たせはしないのです。

イタコの中には喋り口調が亡くなった人のように変化し、本当に死者が顕現しているかのように感じさせ、依頼者を涙ぐませる事も少なくありません。この世から消えれば全て終わりではなく、死後のスピリチュアルな世界がある事を証明するイタコは、現代人にとって希望を与えてくれる存在と言えます。

 


イタコってどのような術を使うの?


ではここからは、イタコ達がどういった術を用いるのか紐解いていきましょう。まずは「神おろし」と呼ばれる技から。「神おろし」の起源は、その昔地域の人々が集まって、地方を守って下さる山々の神を呼び出していたもの。

神社で今も見られる、豊穣やその年の収穫高などを占う行事と似ています。現在に至っては個々の家々で信仰する神々、たとえば八幡神やお稲荷様をお呼びし、依頼者の相談に答えてもらう術を指すのです。

次は「仏おろし」について、ご説明しましょう。ここで言う仏とは死者の事。依頼者は死別後も離れがたい霊を、イタコの術により呼び出してもらうのです。その内容は、死者が生前に思い残した事、また残された側が伝えられなかった事など。

イタコは生きる者の世界と死者の世界の狭間に立って、その間を取り持つ役割をするのです。さらにイタコに術を使ってもらう行為は、死んだ者達をいつまでも忘れず、心は共にあるという、供養でもあると考えられています。

さて、最後は「口寄せ」について。「口寄せ」とはイタコがさまざまな霊を降ろし、そこから発せられた言葉、いわゆる霊言です。イタコ達は修行の成果を、あらゆる場面で人々を手助けする術として表します。

 


イタコが使う道具って?


会った事もない人々やこの世に生きるどの人も、お姿を見た経験がない神々。そんな遠い霊を間違いなく自身の元へと呼び寄せるため、イタコ達は独特の道具を使います。それが「オダイジ」であり、「数珠」なのです。

ではまず、「オダイジ」の方からご説明しましょう。辛い修行が終わった時、師匠から手渡されるいわば卒業証書のようなものが、この「オダイジ」という道具です。筒型の容器の中には、密教経典や自身を守護するための経文の一、そして師匠からの「御身大事」の言葉が。

イタコは、あの世とこの世を結ぶ者。目には見えませんが、そこには依頼主である生者や術者の妨げとなるモノ達も、少なからず存在しています。それらからイタコ本人を守護するためのお守りとなるのが、「オダイジ」なのです。

さて、次は「数珠」について語りましょう。こちらも独立を認められた時、師匠から頂戴します。一般的なものより非常に長く、動物の骨や角などで作られていたり、あるいは歯でできている物も。江戸時代に使われていた古銭などが、装飾として取りつけられています。「数珠」の重要な効果は、その音で依頼者の緊張を解す事。穏やかに霊言を受け入れられるよう、精神を静めるのです。

 


まとめ


死んだ祖父や祖母、あるいは歴史上の人物などの声を、聞いてみたいと思うのも人間の性ではないでしょうか。最近では、AI技術などで亡くなった人を蘇らせる試みもあります。伝説の歌手が今も生きていれば、こんな感じではなかったかという番組もありました。でも、どこか血の通っていない機械的なイメージもあり、イタコが降ろしてくる霊の生々しい迫力には負けるかもしれません。

そして、忘れてならないのは間接的にせよ、生者との交流や触れ合いができる点ではないでしょうか。親しい者にしか分からない情報や、あるいは血の繋がっている縁者だからこそ心を震わせるメッセージを、日々伝えてくれているのです。

また、昭和から平成、平成から令和と時代が変わっても、先の見えない不安に怯える民衆の気持ちは変わりません。それを静めるような神様の言葉を伝えるという重要な役割も、イタコの人達がいるからこそ成り立つとも言えるのです。

もちろん、未来を見通す力を持つ霊能者もいるでしょうが、歴史や伝統に裏打ちされているかどうかは別の話。イタコという民間伝承的な存在が、今も昔も日本を支えてくれているのだと認識し、その霊的パワーを見直してみてはいかがでしょうか。

 

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